音楽が鳴っているのだから、踊り続ける
その値上がりをみて、資産ポートフォリオに組み込みたいと考える金融市場関係者が増えていることは理解できる。これを法律上、金融資産として認定する動きもある。
音楽が鳴っているのだから、踊り続けるのであろうが、音楽が止んだ時のことも想定しておかなくてはいけない。暗号資産の価値が想定を超えて毀損した時、仮にそれが行政上、金融資産として認められていたとしても、行政に責任を問うようなことがあってはおかしい。それは自己責任だ。
また、暗号資産の保有を進める金融市場関係者がいるとすれば、ここまで色々とみてきたような金融環境の中で、確率は小さいかもしれないが、大きな調整が起こり得るということも念頭に置いて、リスクの顕現化に対する顧客の耐久性を判断すべきだろう。
もうひとつ、「プライベート・エクイティ」「プライベート・デット」と呼ばれている分野での積極的な投資がある。上場されておらず、多くの金融市場参加者が情報を得ることができない企業への投資である。
過去、高いリターンを上げてきたので勢いが出たようだが、このところ撤退するファンドのアネクドーツもある。もともと流動性の乏しい投資であるだけに、かなり売却が難しいらしい。ということは、一定の損失が出ているはずだ。
以上のような展開の中で、国際通貨基金(IMF)や主要国の中央銀行総裁などからはバブルの可能性を指摘する発言が聞かれているのも気になる。
もっとも、それがバブルだとしても、“バブル崩壊”が起こるかどうかは分からない、起こるとしてもいつかは分からないし、どの程度になるのかも分からない。
それでも、何かが起こった時、あたふたしないよう、そうした事態に備えた心構えは持っていた方が良い。20年前を思い出して、いくら過去に学ぼうとしても、結局のところ、それくらいのことしか言えないのはとても残念なのだが。