ドジャースのワールドシリーズ連覇に貢献した山本由伸、大谷翔平、佐々木朗希(写真:共同通信社)
世界中の野球ファンが注目「ドジャース“日本人トリオ”はWBCに出場するのか」
東京ドームに一瞬、緊張が走った。11月14日、翌日の「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本VS韓国」を前に行われた前日練習と監督会見。韓国メディアから同時通訳を通じて井端弘和監督に向けられた次の質問は、まるで鋭い直球のようだった。
「ドジャースで活躍する大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希の3人が来年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場するのかどうかは、全世界の野球ファンも注目している。ドジャースは3人の出場に消極的とも伝えられているが、この点に関して何か話はしていないか」
世界が注目する問いに、井端監督はやや困惑しながらも笑みを浮かべ「頑張ってます」と答えた。短い言葉。だがその一言に含まれた“温度差”が、侍ジャパンを取り巻く現状を雄弁に物語っていた。
野球日本代表の井端弘和監督。写真は11月15日撮影(写真:共同通信社)
会見後、日本メディアの一部には「このやり取りで危機感をあおり、オーバーに取り扱うことだけは避けてほしい」と大会関係者から非公式の“お願い”があったという。つまり、ドジャース所属の3人、大谷、山本、佐々木の第6回WBCへの出場が極めて不透明である現状を裏付ける事実でもある。
ドジャースは今季、ワールドシリーズ連覇を達成。中心にいたのが、この3人だ。大谷は打率2割8分2厘、55本塁打、102打点でナ・リーグMVP。前所属のエンゼルス時代を含め3年連続4度目の栄冠となり、主要5部門を制覇した。山本はワールドシリーズMVP、佐々木もMLB1年目でリリーフ起用から存在感を確立。まさにドジャースの「日本人黄金トリオ」が連覇の立役者だった。
だが3人の体は正直、限界に近い。シーズン終盤からポストシーズンにかけて大谷は二刀流としてフル稼働。山本はワールドシリーズ第6戦で先発した翌日の第7戦も、リリーフとして2回1/3を投げて連投、佐々木も不調なブルペン陣を支えるべく酷使された。