「建前」としての利上げは1~2回まで

 高市政権発足前から0.75%への利上げは(トランプ関税がなければ)既定路線だったのだから、リフレ思想に傾斜する現政権の「建前」としても許容範囲内になり得る。新設される日本成長戦略本部や経済財政諮問会議の民間議員の顔ぶれを見る限り、少なくとも経済・金融系についてはかなり偏った思想性が鮮明である。

 これらの会議体が実際の政策運営に意味ある存在と仮定すれば、利上げの連続性は期待する方が難しい。現に2026年10月までの利上げ織り込みは次回も含めて最大2回にとどまっている。

 なお、10月末に来日したベッセント米財務長官はアベノミクスについて、「単なるリフレ政策ではなく、インフレ懸念とのバランスを取る政策へと変容すべき」という明確な意思表示を出して注目された。

 円安インフレによる実質所得環境の悪化を念頭にベッセント財務長官から通貨・金融政策に対して助言を受けたような構図で、日本政府として拡張財政と金融緩和を野放図に放置するのも難しそうな機運はある。

「米国に言われたからやる」というのは何とも不格好だが、円安により国民の暮らし向きが悪くなり、これを米国から憂慮されるような状況は「利上げが反発を買わない世相」とも読み替えられる。

 高市政権の「本音」がリフレ思想に染まっているとしても、「建前」としての1~2回の利上げであれば受け入れやすい状況にはあるように見える。1月までに1回、7月までに2回目というイメージであれば、1.0%までの政策金利引き上げが視野に入る。