日銀の植田総裁と面談した高市首相(写真:共同通信社)
(唐鎌 大輔:みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト)
投資意欲は失速感が露わ
日経平均株価指数は動揺する米国の株価とともに調整を経てはいるが底堅く推移しており、円安と円金利上昇の併発もいまだ健在である。要因は1つではないものの、10月以降、円金利上昇と円安が加速しているのは、言うまでもなく高市政権のリフレ思想に対する期待を投影した動きである。
もっとも、株価も年初来で見れば十二分に利が乗っている状態でもあり、達観すれば、円安・株高の持続という個人投資家にとって追い風とも言える状況はある。ところが、足もとでその動きは活発とは言えない。
11月11日に財務省から公表された10月分の「対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)」によれば、「家計の円売り」の代理変数として注目される投資信託委託会社(以下投信)経由の対外証券投資は+3479億円と今年2番目に小さな買い越し額にとどまった。
年初来10カ月間の買い越し額は+7兆9571億円と昨年同期(+10兆1045億円)から失速感が鮮明である。図表①を見る限り、やはり今年4月の関税ショック以降、個人投資家の投資意欲は回復していないように見受けられる。
【図表①】

もちろん、円安相場のピークアウト感や日本国内におけるインフレ機運の高まりを踏まえると、「海外から国内へ」と投資意欲がシフトしている可能性もある。海外投資だけがすべてではない。