高市首相がリフレの危うさに気づくチャンスはあるか?
もっとも、高市政権がリフレ政策の危うさに気づくチャンスはある。
円建て輸入物価指数の変化率は資源価格の落ち着きなども背景に、足もとでは前年比横ばいが維持されている。しかし、4月以降の円安相場が3カ月から6カ月程度のラグを伴って反映されてくるとすれば、近く上昇に転じる公算は大きい。
しかも、恐らく国民の体感に近いのは「変化率」もさることながら「水準」だろう。これは2020年後半から2022年末にかけて2倍近く切り上がった後(指数で言えば90台前半から180台後半)、2023年半ばにかけて160前後まで切り下がったが、それ以上に下がることはなく横ばいが続いている。

もちろん、2020年初頭の90台前半はパンデミックの影響を受けているため特殊な時期だが、パンデミック直前となる2019年平均で見ても111.5であり、2025年初来平均である157.4は+40%以上の上昇ということになる。
ここから今年4月以降の円安の影響で押し上げられてくるのだとすれば、やはり世論はリフレ思想の強い高市政権に責任を転嫁しようとする可能性は十分考えられる。そのような変化を世論調査などから早期に察知できれば、政権の持続につながるはずである。
高市首相とてリフレ政策と心中するつもりはあるまい(そういった狂信的な識者が小さいことを祈るばかりだ)。
株価が上昇して困るステークホルダーは存在しないため、政権発足当初は株高と比例して支持率が上がりやすいが、インフレの好影響は株高くらいである。いずれ実質所得環境の悪化が選挙で牙をむくことになる。