法の趣旨を軽視するかのような言動をとる不誠実な政治家や首長が急増
知事は議会答弁で、「どのSNSに対しても感想を述べない」といった趣旨の説明を繰り返してきました。しかし、選挙中も選挙後も、誹謗中傷の拡散を抑えるために、より積極的な呼びかけや対応を取る余地はあったはずです。そのSNS発信が、結果として一人の命を追い詰めたのではないかという重い疑念がある以上、その責任の重さは小さくありません。
さらに重要なのは、立花氏がすでに「NHKをめぐる一連の事件」で懲役2年6カ月、執行猶予4年の有罪判決を受けており、現在も執行猶予中であるという事実です。今回の事件の判決が執行猶予期間中に確定すれば、過去の執行猶予が取り消され、懲役2年6カ月が実刑に切り替わる可能性があります。加えて、今回の事件でも実刑判決が下れば、量刑が加算されるシナリオもあり得ます。
これまで、ぎりぎりのところで重い刑事責任を免れてきた本人にとっては、今度こそ正念場となるでしょう。上級審まで争い、あらゆる法的手段を尽くそうとすることも十分予想されます。
だからこそ、慎重に捜査を積み重ねてきた神戸地検、兵庫県警、そして裁判所には、事案の重大性を踏まえた冷静かつ厳正な判断が求められます。
こうした言動が長らく許容されてきたことにより、日本の政治の現場では、法の趣旨を軽視するかのような行動が目立つ政治家や首長が増えてしまった側面があります。伊東市長や前橋市長をめぐる一連の問題、さらには都知事選で選挙に直接関係しないポスターを大量に貼り続けた人々、有力候補への暴力行為を動画コンテンツ化して収益を上げた政治団体など、民主主義のルールを軽んじるような言動は枚挙にいとまがありません。
こうした事例をこれ以上増やさないためにも、今回の捜査と司法判断は極めて重要な意味を持ちます。
また、立花氏の発言やスタイルに強く共鳴し、SNSで積極的に拡散してきた著名人も少なくありません。発信内容によっては、今後の捜査の過程で事情聴取の対象となる可能性もゼロではないでしょう。少なくとも、自らの発信が結果としてどのような影響を与えたのか、改めて検証し、必要であれば訂正や謝罪を含めた説明責任を果たすべき局面に来ていると思います。