逮捕されたNHK党の立花孝志党首(写真:共同通信社)
立花孝志氏の逮捕は、11月9日の日曜日未明、大阪府堺市内のコインパーキングで行われました。報道によれば、バーでのイベントを終えて駐車場に戻ったところを兵庫県警が逮捕したとされています。
週末の深夜という、通常とはやや異なるタイミングでの身柄拘束であり、警察側が事前に行動パターンを綿密に把握したうえで、休日前に裁判官から逮捕状を取っていたことがうかがわれます。神戸地検との十分な調整のもと、かなりの覚悟をもって踏み切った逮捕だといえるでしょう。
NHK職員時代から異能を発揮
立花氏は元NHK職員です。当時を知る同僚はこう振り返ります。
「経理担当として、現場から上がってくるやや無理筋の経費申請でも、正式な経費として認めさせる“調整力”に長け、現場からは重宝されていました。一方で、事故現場などについてきて記者のまねごとのような取材を始めるなど、型にはまらない人物でもありました。仕事上のミスを指摘されると、すぐに他者の失敗や不正を持ち出し、自分への批判を相対化しようとする一面もあった、という印象です」
その後、NHKを懲戒免職となり、約9年間フリーで活動。2013年に前身となる政治団体「NHKから国民を守る会」を立ち上げ、2015年には千葉県船橋市議会議員に初当選。2019年には参院選挙比例区で当選し、いわゆる「NHK党」(名称変更を繰り返しているため、以下N党とします)の党首として、国政政党の代表にまで上り詰めました。
しかしその政治スタイルは、政策論争よりも過激な物言いや敵対者への攻撃的な発信が目立つものでした。首長選や地方議会選、さらには都知事選にも繰り返し立候補するなど、耳目を集めることを優先したように見える行動を続けてきました。
その言説や行動をたどれば、「この人物を政治の一線からどこかで遠ざけなければ、この国の民主主義の土台が揺らぎかねない」と感じた有権者も少なくないのではないでしょうか。
