2019年には、「世界平和のためには人口コントロールが必要」「バカな国ほど子供を生むから(中略)とりあえず虐殺しよう」だとか、「質の悪い子供を増やしてはだめだ。将来納税してくれる優秀な子供を増やすことが国力低下を防ぐ」など、政治家の発言として看過しがたい内容を繰り返しました。何度か謝罪や釈明をしたとはいえ、差別的・暴力的と受け取られてもおかしくない発言の数々は、今なお強い批判の対象になっています。

立花氏の演説・SNSを頭から信じ切った人々も

 そうした人物とともに「二馬力選挙」とも言われた強烈な選挙戦を展開した兵庫県の斎藤元彦知事や、その知事を批判する告発者・県会議員に関する情報を真偽入り乱れて拡散する立花氏の演説やSNS投稿を信じてしまった県民がいたことは、気の毒でもあります。

11月10日、兵庫県庁で取材に応じる斎藤元彦知事。立花氏の逮捕については「コメント控える」と述べた(写真:共同通信社)

 一方で、その情報をうのみにして誹謗中傷を繰り返し、内部告発者やそれを支えた議員を深く追い詰める結果になった一部の人々の言動については、今後、厳しい自己検証が求められるはずです。

 なお、「まだ判決も出ていないのに国策捜査だ」と主張する人たちもいます。

 そうした人たちには、まず「公益通報者保護法」の条文を一度丁寧に読んでみてほしいと思います。少なくない専門家や弁護士が、兵庫県の初動対応にはこの法律の趣旨・規定に照らして問題があったと指摘しています。公開のSNSで個人を激しく攻撃するのであれば、せめて関係する法律の条文くらいは一読してほしいものです。

 今回の異例の逮捕劇について、各マスコミもさまざまな解説を試みています。

 たとえば、立花氏が伊東市長選への立候補を正式表明してしまうと逮捕が難しくなるので、正式表明直前のタイミングでの逮捕に踏み切ったのではないか、という見立て。

 あるいは、逮捕容疑となったのは竹内英明元県議に対する名誉毀損は生前と死後にわたる発信が対象となっていますが、「死後の名誉毀損」はこれまで成立例が少ないので、警察・検察間で慎重なすり合わせが必要だったのではないか――といった説明もなされています。

 立花氏はこれまでも、さまざまな形で被害届や告訴を受けてきたものの、多くは民事での賠償や在宅起訴などによって済んできました。その延長線上で今回も乗り切れると、本人はどこかで楽観していた可能性も指摘されています。

 実際、兵庫県警本部長が「竹内議員は警察の取り調べを受け、逮捕寸前だった」という立花氏の投稿は事実ではないと異例のコメントを出し、立花氏が謝罪したことで、問題は一応決着したと見る向きもありました。

 前出のNHK関係者は「これまで、さまざまな形で実刑を免れてきた側面があるだけに、今回の逮捕には本人も相当驚いているのではないか」と語ります。

 実際、今回は在宅ではなく身柄拘束に踏み切り、その理由として「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」が挙げられています。これは本人だけでなく、周辺関係者への家宅捜索を視野に入れた判断と見るのが自然でしょう。