アンリ・ルソーの姿勢に学ぶ

 AI時代にこそ思い出したいのが、アンリ・ルソーの姿勢です。彼は生涯、自分の信じる世界を描き続けました。

 専門的な技術もなく、批評家に笑われても筆を擱きませんでした。その誠実な不器用さこそが、彼の芸術を永遠のものにしたのです。

 AIがどれほど高度に進化しても、誠実さは学習できません。アルゴリズムは感情を模倣できますが、意志を持つことはできないのです。

 ルソーはまさに意志で描く人でした。彼の絵のぎこちなさは、迷いのない確信に満ちていたのです。

 その一点において、彼はAIよりもずっと人間的だったのではないでしょうか。

 写真が写実主義を終わらせ、ルソーが「不器用の芸術」を蘇らせたように、AIは技巧としての創造を終わらせ、誠実としての創造を再評価させます。

 SORA2が作る映像は美しいです。しかし、そこには誰の思いも存在しません。

 私たちは今こそ、自分だけが感じる世界を描くべきです。AIが知っていることを語るなら、人間はAIが知らないことを語ってください。

 AIが過去を模倣するなら、人間は未来を想像してください。その差が、創造の新しい境界になるでしょう。

 芸術の未来は、AIの中にはありません。それは、私たち一人ひとりの現実の体験と、ルソーのように自分の夢を描く勇気の中にあるのです。