どんな政治的枠組みを作れば成果を出せるのか

「私たちが民主的資本主義を維持していくなら、どうすればより上手く機能させられるかを考えなければならない。そのためにはより効率的に建設し、政策を機動的に実行できるようにする必要がある。中国のような強制的に進めるやり方は民主国家では通用しない」

「民主国家なら市民の同意を得なければ進まない。ここが中国との決定的な違いだ。この合意形成の難しさは所得分配の問題にも通じる。アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏が資産を持て余しているのは明らかで、本人もたぶんそれを認めるだろう。マスク氏もおそらく同じだ」

「ほとんどの億万長者と密室で話せば自分の資産は多すぎると正直に打ち明けるだろう。彼らが、官僚を増やすだけの政府に自分の資産を渡したいかと言えばそうではない。問題はどんな政治的枠組みを作れば人々に受け入れられ、実際に成果を出せるのかということだ」

「私はまだその答えを見つけていない。答えを待っている状態だ。『悪夢が早く醒め、次の3年被害ができるだけ少なく済みますように』と言うと妻にきっとこう返される。『やっぱりあなたは家族で一番の楽観主義者ね』と」とセイラー教授は語った。

【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。