米中首脳会談後に話すトランプ大統領(左)と習近平国家主席=10月30日、韓国・釜山(写真:ロイター=共同)
ちょっと嫌な雰囲気である。一時は、健康不安説や軍の統制不能説などが囁かれていた習近平主席が、10月20日~23日に北京で行われた「4中全会」(中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議)と、先週(10月31日~11月1日)の慶州(キョンジュ)APEC(アジア太平洋経済協力会議)を経て、すっかり息を吹き返した。内政も外交も盤石にした格好だ。
習近平主席をヨイショ
外交における責任は、ひとえにドナルド・トランプ米大統領にあると言えるだろう。10月30日に釜山(プサン)で行われた6年ぶりの対面となる会談で、トランプ大統領は習近平主席を喜ばせることに腐心したからだ。
ホワイトハウスが自慢げに公開した下の写真を見てほしい。あげく、トランプ大統領は、中国を含む世界中に拡散されるテレビカメラの前で、「彼(習主席)は偉大な指導者だ」「今後長期にわたり、われわれは素晴らしい関係を築いていく」などと持ち上げた。
(写真:ホワイトハウス提供)
(写真:ホワイトハウス提供)
今回の米中首脳会談では、主に「8大問題」を議論すると言われていた。①レアアース、②輸出規制、③フェンタニル、④TikTok、⑤港湾料金、⑥大豆、⑦上乗せ関税、⑧ウクライナである。
それで、結局どうなったか。アメリカからすれば、①は、中国に頭を下げて輸出規制を1年間延ばしてもらった。②は、中国に対する新たな半導体規制を1年延ばす譲歩をした。③は、「規制を強化する」との言質を取ったが、おそらく中国側は実質的にほとんど動かないだろう。④は、すでに9月に米中で基本合意している。
