触れるものすべてが黄金に変わるフアン氏のミダスタッチ

 収益力や財務状況など重要な企業のファンダメンタルズはほとんど考慮されない。8月にはドナルド・トランプ米大統領がホワイトハウスで初会談した李在明大統領のペンを称賛した後、韓国の筆記具メーカーの株価が急騰したことがある。

2025年8月25日、ワシントンD.C.のホワイトハウスのルーズベルト・ルームで、李在明大統領が芳名帳に署名するのを見守っているドナルド・トランプ米大統領(提供:Daniel Torok/White House/Planet Pix/ZUMA Press/アフロ)

 触れるものすべてを黄金に変えるフアン氏のミダスタッチ(金儲けの才能)は先端半導体やAI企業だけでなくフライドチキンにも及んだ。バブルはいつの時代も繰り返される。1630年代、オランダのチューリップ・バブルでは球根1個にアムステルダム運河沿いの家1軒分以上の値がついた。

 1720年、英国の南海泡沫事件では「非常に有益な事業を行うため」に設立された会社という広告だけで集められた資金が持ち逃げされる事件が起きた。投資家は会社の実体が分からないまま設立公告だけを見て投資する異常な投機ブームが起きた。

 1820年代、スコットランドの冒険家は南米の未開地に架空の「ポヤイス王国」をデッチ上げて国債を発行、大金をかき集めた。1980年代、バブル期の日本では皇居の敷地の地価と米カリフォルニア州全体の土地価格は同じというたとえがもてはやされた。