世界のマネー、ユーロ共同債は新たな受け皿に?
唐鎌:これまでユーロ圏には米国債のような安全資産がないと指摘されてきました。ただ欧州では今年3月に「欧州再軍備計画」が打ち出され、一部の資金は共同債の発行で進めようとしています。この共同債が(国債のように)育っていけばユーロ圏の安全資産となり、いっそう資金が流入しユーロ高を支える可能性もあるでしょう。もちろん、長い時間がかかる話ではありますが。
(イメージ:Niphon Subsri/Shutterstock.com)
——ただ、ユーロ圏の経済自体が決して強いわけではないですよね。
唐鎌:生産や新規受注の指標は芳しくないですが、防衛装備品といった分野では旺盛な需要が見受けられます。実際、欧州再軍備計画に伴う財政出動は来年以降なので、防衛特需の下支えは大きくなると思います。
——ドル一強体制から変化は起きるのでしょうか。
河田:欧州は今、確かに変わりつつあります。ロシアのウクライナ侵攻や「トランプ2.0」など外部環境が変化する中で、自立しないといけないという覚悟が出ています。ドイツも防衛やインフラ投資を拡大しており、これが長期的な景気の押し上げ要因になる可能性があります。
すぐにドル基軸体制が崩れるまでは言えませんが、ユーロが一定の受け皿として存在感を増しているのは確かです。
さらに米中対立が続く中、中国は米国債を買わずに金を増やしています。米中の対立は長い目で見ると累積的な影響をもたらすでしょう。