今夏の参院選では新興政党が躍進した(写真:AP/アフロ)
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(榎並 利博:行政システム株式会社 行政システム総研 顧問、蓼科情報株式会社 管理部 主任研究員)

 2025年7月に実施された参議院選挙では、与野党ともに既成政党への票が伸びず、与党は過半数割れに追い込まれた。今回の選挙の特徴として、与党への批判票が既成の野党に流れたのではなく、新興政党に集まったことが指摘できる。

 総務省から「第27回参議院議員通常選挙 年齢別投票者数調(抽出調査)」 が9月19日に発表されたので、このデータを使って今回の参院選において、国民、特に若い世代がどのような影響を与えたのか、また若い世代の政治に対する関心がどのように変化してきたのかを分析してみた。

 今回の選挙の争点は、景気・雇用、消費税、年金・医療・介護などのテーマを中心に、物価高対策としての減税や給付のあり方、米価格の高騰問題、外国人政策などに焦点が当たった。しかし、今回特に気になった点は、過激でポピュリズム的な言動やSNSを駆使した戦略が目立ったことだ。すでに欧州や米国の選挙で報道されていた現象が、日本にも伝播してきたかのように感じられる。

 メディアの分析によれば、年代によって支持政党に差が出ており、年代が高いほど自民党や立憲民主党などの既成政党への支持が多く、逆に若い世代は国民民主党や参政党などの新興政党への支持が多くなっているという。

 その理由として、SNSなどのインターネットがかなり多用され、それが若い世代の感覚にポピュリズム的言動と相まって刺さったのではないかと推測されている。そのためそれまで政治に無関心であった層が、既成政党への不満から現状に変化をもたらしそうな新興政党を支持するという投票行動を起こし、今回の結果につながったのではないかという分析である。

 実際のデータを使ってその事実を確認してみたい。総務省が公表している「参議院議員通常選挙における年代別投票率の推移」 のデータに今回のデータを追加し、作成したのが次ページの図である。縦軸が各選挙における投票率、横軸が選挙年(参院選なので3年ごと)となっている。