今夏の参院選で自民党が大敗し、四役も辞任を表明するなど石破政権の運営は正念場を迎えています。投票率の上昇や新興政党の躍進は、これまで政治に関心を持たなかった若年層を動かしたことが背景にあります。「お年寄り政党」の自民党は若者からの支持を巻き返せるのか。ジャーナリストの田原総一朗氏が、旧石破派の中核メンバーだった自民党の齋藤健衆議院議員(前経産相)に聞きました。司会はスローニュース代表の瀬尾傑氏。2回に分けてお届けします。
※JBpressのYouTube新番組「田原総一朗のオフレコTV」での対談内容の一部を書き起こしたものです。詳細はYouTubeでご覧ください(収録日:2025年9月3日)
参政党の躍進とSNSの浸透力
——夏の参院選では参政党の躍進が目立ちました。
齋藤健衆議院議員(以下:敬称略):増加する外国人への不安やワクチン接種への懸念など、有権者が薄々抱える不満に対して、SNSを通じて巧みにアプローチした印象です。国民民主党なども「手取りが増えない」という人々の不満の部分をうまく取り上げました。全く政治に関心がなかった人も、SNSで流れてくる動画をきっかけに、「確かに問題だ」と共感しファンになった人も多いでしょう。
結果、参院選の投票率が6ポイント程度上がったのは、新たに若者が投票に行ったのだろうと思います。でも若者も多くは自民党に票を入れていない。自民党は、今の選挙の戦い方を改めなければ、次の衆院選でも惨敗しかねません。
田原総一朗氏(以下:敬称略):自民党はどう変わるべきでしょうか。
齋藤:支援者層の厚い高齢者向けの政策を偏重し、若者へのアプローチを蔑ろにしていたことを大反省しなければいけません。若者が政治に関心を持ってくれることは非常に良いことで、彼らが輝いて働ける政策を作っていく必要があります。
自民党の両院議員総会後、取材対応を終えた石破首相=9月2日午後、首相官邸 (写真:共同通信社)
一方で、税金を減らして手取りを増やすというのが、若い人たちにとって本当に最適な政策なのでしょうか。人口が減少する中、手取りを増やすことは容易ではありません。政権を運営している政党として、責任を持ち現実的に考えていく必要があります。
だからこそ、手取りを増やすだけでなく、英語教育を強化して世界で活躍する人材を支援する、転職の際のリスキリング、スタートアップへの手厚い支援など、税金をまけてやるというだけでなく若者の未来に向けた政策のブラッシュアップが重要だと感じています。