2025年9月16日、世界陸上東京大会、男子110mハードル決勝での村竹ラシッド 写真/松尾/アフロスポーツ
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(スポーツライター:酒井 政人)

前回5位の泉谷駿介はスタート1時間前に準決勝進出が決まる

 東京2025世界陸上、日本勢期待の男子110mハードルは予選から波乱があった。一昨年のブダペスト世界陸上で5位入賞を果たしている泉谷駿介(住友電工)が“敗退”したのだ。

 大会3日目(9月15日)の20時23分から始まった予選(各組4着+4)。1組に入った泉谷はスタートで大きく出遅れると、13秒52(-0.6)の5着でレースを終えた。

「横の選手がピクついたので、やり直しかなと思ったらそのままいっちゃって……」と泉谷。リアクションタイム0.325秒という大きく差がついた最下位でのスタートとなり、首をかしげた。

 泉谷は4着の選手と同タイムながら0.002差。5着以下のタイムでは0.01秒差で通過ラインに届かなかった。しかし、大会4日目(9月16日)の20時40分に始まる準決勝。1組に出場予定だった選手1名の棄権による「繰り上がり」となり、急遽、出番がまわってきた。

 その連絡を自宅にいた泉谷が受けたのはスタートの1時間ほど前だった。「正直、驚きました」と泉谷。急いで国立競技場に向かい、到着したのはレースの15~20分前だったという。

 準決勝はリアクションタイム0.159秒と素早く飛び出すも、最初のハードルでバランスを崩して、4台目のハードルを引っかけて転倒。立ち上がり、最後までレースを続けたものの、記録のうえでは途中棄権となった。

「予選の感じで走っても良くなかったと思うので仕方ないですね。メンタル面が安定しなかったですし、いろいろと難しかったです。こういう結果に終わって、自分への失望感は大きいです。でも、いろんなことがあったのをネタにして、強く生きていくしかない。精神面を整えて、また頑張っていきたいです」

 他の日本勢は野本周成(愛媛競技力本部)が予選3組を13秒29(-0.6)の4着で通過。準決勝(各組2着+2)は泉谷と同じ1組に出場して、13秒30(-0.8)の3着と健闘した。プラス通過の可能性を秘めていたが、ファイナル進出には0.08秒届かなかった。