6月20日、パリ近郊のル・ブルジェ空港で開催されたパリ国際航空ショーでマクロン大統領(右)を出迎えるルコルニュ国防相(写真:代表撮影/AP/アフロ)
目次

 フランスでは、国民議会で信任投票が否決され、9月9日に退陣したフランソワ・バイル首相の後任に、マクロン大統領はセバスチャン・ルコルニュ国防大臣(39歳)を指名した。2期目のマクロン政権では、実に5人目の首相である。なぜ、このような状況になったのか。石破首相が退陣した日本の政治と共通した課題がある。

2022年から少数与党に

 2022年6月の国民議会選挙で、マクロンを支持する与党連合は大敗し、過半数を失った。左派と極右が勢力を拡大した。今の日本の自公政権と同様の少数与党であり、現職大統領の与党が国民議会で過半数割れとなったのは、1997年以来のことである。

 そして、2024年6月の欧州議会選挙でも、マクロン与党は右派政党に大敗した。そこで、この状態から脱するために、マクロンは、国民議会を解散して総選挙を行うことを決意したのである。

 こうして国民議会(定数577)の選挙が実施された。2024年7月7日に行われた決選投票では、極右の国民戦線(RN)がトップに躍り出ると予想されていたが、1位が左翼連合で182(+33)議席、2位が与党連合で168(−82)議席、3位がRNで143(+55)議席となった。

 その結果、3つの勢力のいずれも過半数を獲得できず、「宙づり国会」となってしまった。

 なぜマクロン政権は、このように国民の支持を失ったのか。それは、財政再建を実現するために、厳しい緊縮政策を断行したからである。