9月1日、中国・天津で上海協力機構(SCO)首脳会議に合わせて首脳会談したインドのモディ首相とロシアのプーチン大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
9月3日、「抗日戦争勝利80年」を記念して、中国は大規模な軍事パレードを敢行した。習近平主席は、プーチン大統領、金正恩総書記ら、20カ国以上の首脳を招待した。しかし、西側主要国の首脳は参加しなかった。また、8月31日から2日間、天津で上海協力機構(SCO)首脳会議が開かれた。中国は、新しい国際秩序の形成に意欲的である。
欧米型システムに対抗する中露のシステム
アメリカの覇権に対して、ロシアも中国も、それに対抗する組織作りを行っている。
ロシアは、2015年1月1日に、ユーラシア経済連合(EEU、EAEU)という地域経済協同体を発足させた。ベラルーシ、カザフスタン、ロシア、アルメニア、キルギスが加盟国である。EUに対抗する経済協力体樹立を狙ったプーチンの構想だが、ウクライナはEAEUにはそっぽを向き、EUに接近した。ウクライナを何としてもEAEUに加盟させたかったプーチンを裏切ったことが、ロシアのウクライナ侵攻の背景の1つである。
2015年5月には、プーチンと習近平は、EAEUと中国の「一帯一路」構想を連携させるとする共同声明を発している。
アメリカに対抗して、中露でユーラシアを支配しようという意図である。
そして、注目に値するのが、先日、中国で首脳会議が開かれた上海協力機構(SCO)である。これは、中国、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、インド、パキスタン、イランの10カ国で構成される安全保障、経済、文化の協力システムである。
中国とロシアは、1991年のソ連邦の解体に伴って不安定になった中央アジアを管理する意向があり、また中露経済関係を強化する必要を感じていた。
1996年4月に中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの5カ国が集まった上海での会合が出発点で、2001年にウズベキスタンを加えてSCOが正式に発足した。2015年にインドとパキスタンが加わり、またモンゴル、アフガニスタンが準加盟国(オブザーバー)となった。2021年にはイランが、2024年にはベラルーシが正式加盟国となった。
さらに、スリランカ、トルコ、アゼルバイジャン、アルメニア、カンボジア、ネパール、エジプト、カタール、サウジアラビア、UAE、ミャンマー、クェート、モルディブ、バーレーンが対話パートナーとなっており、その他、多くの国が加盟の意向を示している。
