AI市場はバブルとの見解を示したサム・アルトマン氏(9月4日、写真:AP/アフロ)
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 生成AI「Chat(チャット)GPT」を開発した米オープンAIのサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)が、現在のAI市場について「バブル状態にある」との認識を公式に示した。

 同氏は、一部の投資家が手痛い損失を被る可能性に言及し、過熱状態にある市場に警鐘を鳴らした。

 その一方で、AIの長期的な重要性を強調。

 オープンAIが将来需要を見据え、データセンター建設などに今後数兆ドル(数百兆円)規模の巨額投資を行う考えを明らかにした。

 この発言は、①AI業界が抱える熱狂とリスクへの懸念と、②その先にある社会変革への強い確信、が交錯する現状を浮き彫りにしている。

アルトマン氏が認めた「バブル」の実態

 アルトマン氏は、米メディア「The Verge」などの取材に対し、「投資家全体がAIに過剰に興奮している段階にあるか? 私の意見はイエスだ」と明言。

 現在の市場を、アイデアをまとめた資料程度しかないスタートアップが巨額の資金を調達し、その評価額が「正気ではない」レベルに達している、と表現した。

 この状況を、2000年前後に多くのインターネット関連企業が淘汰された「ドットコムバブル」になぞらえ、「賢い人々が『真実の核(a kernel of truth)』を前にして過剰に興奮してしまう」ことと同様の力学が働いていると、指摘した。

 アルトマン氏の意図は、短期的な投機熱に沸く市場に対し冷静な視点への転換を促すことにある。

 同氏は、「一部の投資家は手痛い損失を被る可能性が高い」と率直に語り、無謀な投資へのリスクを警告。

 AIがもたらす長期的な価値と、短期的な市場の過熱を切り分けて考える必要性を訴えた。