東京・新橋駅前で開かれた参政党の集会=21日午後(写真:共同通信社)
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(尾中 香尚里:ジャーナリスト、元毎日新聞編集委員)

 やれやれ、今度は参政党か。全く懲りないものだ。

 今回の参院選を眺めていて思うのは、そんな呆れに近い思いである。同党の排外主義的で差別的な主張のことを言っているのではない。もちろんそれはそれで問題だが、すでに多くの指摘があるので、ここでは脇に置きたい。

 筆者が呆れているのは、選挙のたびに目新しい、勢いのある政党や政治家を持ち上げて、飽きたらさっさと捨てるという、メディアの「政党ザッピング」とでも呼べる動きである。

 ここ4、5年は特にひどい。

 選挙のたびに「○○党躍進」「△△党旋風」という言葉があふれ、次の選挙の頃には半ば忘れられる。そうやって政治に対し「トレンドを作っては消費して捨てる」ことを繰り返してきた結果が、当たり前でまともな政治が育つことの妨げになっているのではないかと危惧している。

「新しい政治勢力が選挙でいきなり躍進する」流れの元祖は、自民党が政権に復帰した2012年衆院選で国政に初挑戦した日本維新の会だと思う。東京都知事を務めた石原慎太郎代表と、当時大阪市長だった橋下徹代表代行が率いた同党は、初の衆院選で54議席を獲得し、政権から転落した民主党(57議席)に次ぐ野党第2党となった。

自身の当選を決め、両手を上げて喜ぶ日本維新の会の石原代表=2012年12月16日(写真:共同通信社)

 5年後の2017年には立憲民主党が、結党から20日で躍進を果たした。当時野党第1党だった民進党(民主党から改称)が、小池百合子東京都知事が結党した「希望の党」と合流を図る(希望の党騒動)過程で、合流新党から事実上「排除」された元官房長官の枝野幸男氏らが、衆院選の公示直前に急きょ結党。55議席を獲得し、「排除」した側の希望の党(50議席)を上回って新たな野党第1党に躍り出た。

開票センターで電話取材に笑顔で答える立憲民主党の枝野代表=2017年10月23日(写真:共同通信社)

 両党は衆院で50議席台を獲得しており「躍進」「旋風」と呼ぶのも理解できないわけではない。だが、この後に次々と登場した「躍進」「旋風」には、首をかしげるものも少なくなかった。