(画像:Dilok Klaisataporn/Shutterstock)
これは、「異変」である。
7月7日は、中国にとって特別な日だ。1937年のこの日、北京西郊の盧溝橋(ろこうきょう)で日中が激突。その後、丸8年に及ぶ日中全面戦争となった。中国では「七七事変」と呼んでいる。
特に習近平主席は、「抗日戦争」を重視していて、「悪の日本を撃ち破って共産党政権を打ち立てた」ということを、自らの政権のレジティマシー(正統性)に据えている。そのため、今年9月3日には、「中国人民抗日戦争及び世界反ファシズム戦争勝利80周年」の大々的な軍事パレードを、北京の天安門広場および長安街で予定している。
盧溝橋事件関連行事に習近平主席の姿なし
同様の軍事パレードは、10年前の70周年の時も挙行し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領以下、31カ国・機関の代表が駆けつけた。先週のこのコラムでもお伝えしたが、まさに習近平主席の権威を拡大するための巨大なイベントだった。
(参考)米中の狭間で揺れる李在明大統領、中国「抗日戦争勝利80周年」軍事パレードに招待されるも、出席すれば米国の逆鱗に(2025.7.6)
この軍事パレードとセットになっている重要イベントが、7月7日に盧溝橋の中国人民抗日記念館で行われる「抗日儀式」である。戦後80周年の今年は、「全民族抗日戦争勃発88周年儀式および『民族解放と世界平和のために』をテーマにした展覧会の開幕式」という名称で挙行された。
これは当然ながら、習近平主席が出席すべきイベントである。実際、10年前の70周年の時は、習近平主席が、李克強、張徳江、兪正声、劉雲山、王岐山、張高麗という「トップ7」(党中央政治局常務委員)を全員引き連れて、中国人民抗日記念館に足を運んだ。。
ところが今年のイベントに、習近平主席の姿がなかったのだ。代わりに出席したのは、習主席の最側近である蔡奇常務委員(党中央弁公庁主任)だった。中国共産党での序列は5位だ。
7月7日、全民族抗日戦争勃発88年式典とテーマ展「民族解放と世界平和のために」の開幕式に出席する蔡奇氏(写真:新華社/共同通信イメージズ)
