
中国でも大きく扱われた4頭の帰還
6月28日土曜日午後3時半の関西国際空港。大勢の見送り客たちに見守られながら、特別機は中国へと向けて発っていった。
特別機に乗っていたのは、大物政治家でも映画スターでもない。4頭のジャイアントパンダである。和歌山県白浜町の「アドベンチャーワールド」で飼育されていた「良浜」(らうひん 24歳)と、その子供たち「結浜」(ゆいひん 8歳)「彩浜」(さいひん 6歳)「楓浜」(ふうひん 4歳)が、中国に帰還したのだ。
たかがパンダ、されどパンダである。同日夜のNHK「ニュース7」は、日米貿易交渉に続く2番目のニュースとして流すほどだった。同日昼のCCTV(中国中央広播電視総台)の「新聞30分」でも、「中日友好特使が帰還する」として、このニュースが放映された。
「中国ウォッチャー」を標榜している私のところにも、テレビなど10社以上のメディアから、コメントを求められた。これは、5年に一度開催される中国共産党大会並みで、改めてパンダが「習近平クラスの存在」であることを思い知った。
ともあれ、これで日本には、上野動物園で飼育されている双子の2頭、暁暁(シャオシャオ 4歳オス)と蕾蕾(レイレイ 4歳メス)だけとなる。この2頭の返還期限も来年2月に迫っているので、あと半年あまりで日本は「ゼロパンダ国家」となる。それがどうしたと思われる方もいるだろうが、世に数多いるパンダファンにとっては、悲しい現実だ。