
韓国の李在明(イ・ジェミョン)新大統領は、6月4日昼に国会で行った就任演説「国民に申し上げるお言葉」で、「大統領とは国民を大きく統合する人という意味だ」と発言。その大役を担っていく決意を述べた。
「反対ばかりの野党党首」から様変わり
私は以前、某国の元大統領のご自宅にお邪魔して、じっくり話を聞いたことがあるが、「大統領とはつまるところ忙殺と信仰だ」と仰っていた。忙殺とは、盆も正月も土日も朝晩もなく仕事に追われ、私生活がなくなること。また信仰とは、自分の決断が常に国家の最終決定となるため、神と対話しているような神聖な気分がしてくるというのだ。
李在明新大統領も、もしかしたらそんな気分に浸り始めたかもしれない。少なくとも、これまでの「反対ばかりしていた野党党首」の時代とは、「仕事内容」が一変したことは確かだ。
新たな仕事の中には、これまでまったく未体験だった「外交」も含まれる。週明けから、いきなりカナダG7(主要先進国)サミットで、各国首脳との会談をこなすことになる。
最大の難敵は、当然ながらアメリカのドナルド・トランプ大統領である。4月2日、韓国は日本よりも大きい「25%の相互関税」を言い渡された。
ところが、日本の赤澤亮正経済再生担当大臣が、すでに6回も訪米して交渉を続けているのに対し、韓国はまともな交渉ができていない。何せ昨年末以降、大統領が事実上、不在だったのだから。