こうした点から、これから李在明大統領は、トランプ大統領に対して、相当な「食い込み」を見せることだろう。そのために、これまでアジアの首脳で最もトランプ大統領と親しかった安倍晋三元首相の「手法」を学習するのではないか。そして、2期目のトランプ政権では、アジアで最も親しい首脳となっていくと、私は見ている。

「反日」封印して実利を

 次に、李在明大統領は6月9日、自らの「X」で、石破首相との電話について語った。

<今日午後、石破茂日本総理と、私の就任後、初めて電話で話をした。

 石破総理は、私の就任後、直接ハングルで祝賀メッセージを伝達してくれた。両国が真の信頼関係を築き上げるために努力していかねばならないという所信をくれた方だ。

 現在の国際情勢の中で、韓日関係の重要性は日ごとに増している。特に、今年は韓日関係正常化60周年、光復(日本植民地時代の終了)80周年にあたる意義ある年だ。新時代が要求する未来志向的な韓日関係を作っていくつもりだ>

 このように、過去の反日的な言動は、完全に封印した格好だ。

韓国の李在明大統領との初の電話会談について、取材に応じる石破首相(写真:共同通信社)

 李在明時代の日韓関係を、最悪だった文在寅(ムン・ジェイン)時代の日韓関係の再来という人もいる。だが私は、文在寅元大統領が「理念としての反日」だったのに対し、李在明大統領は「パフォーマンスとしての反日」に思える。そのため、日本と付き合って「実利」が得られると判断する限り、文氏のような極端な反日には走らないだろう。