6月14日、テヘランにあるイスラム革命広場で、イスラエル領土への攻撃に向かうイラン兵士を描いた反イスラエルの横断幕の前に立つ作業員(写真:AP/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

英紙「電撃攻撃は何年もかけて計画された」

[ロンドン発]イランの核兵器開発を阻むイスラエルの「ライジング・ライオン作戦」の全容が浮かび上がってきた。60%高濃縮ウランを生産するナタンズの濃縮施設とその電力インフラは完全に破壊されたと米シンクタンク「科学国際安全保障研究所」(ISIS)は確認している。

 イスラエル国防軍(IDF)報道官は重要なウラン転換施設や20%および60%高濃縮ウランの備蓄施設など多数の核施設を抱えるイスファハンへの攻撃にも成功したと発表した。英大衆紙デーリー・メール(6月14日付)は「この電撃攻撃は何年もかけて計画された」と解説している。

「イスラエル特務機関モサドの工作員はイランの砂漠に密かにドローン(無人航空機)を持ち込んだ。陸軍司令官や核科学者が殺害され、テヘランのレーダー基地とミサイル基地は破壊された。この半世紀近くの間にイラン領土に対して行われた最大の攻撃だ」(同紙)

「ライジング・ライオン作戦」で殺害された軍関係者は、

(1)イランの精鋭部隊である革命防衛隊のホセイン・サラミ司令官、

(2)イラン軍参謀長モハンマド・ホセイン・バゲリ少将、

(3)イスラエルへの空爆を指揮する中心人物で、ウクライナ国際航空752便撃墜を認めた革命防衛隊航空宇宙軍のアミールアリ・ハジザデ司令官、

(4)革命防衛隊ハテム・アル・アンビヤ司令部長官のゴラムアリ・ラシード少将――の4人だ。

6月13日のイスラエルによる攻撃で殺害されたとされるイラン革命防衛隊のホセイン・サラミ司令官(写真:ロイター/アフロ)