それでは、習主席はいつ決断するのか? ここからは私の勝手な想像だが、7月20日以前はないだろう。この日行われる参院選で、石破茂自民党が惨敗し、石破内閣が倒れる可能性もあるからだ。

ひょっとすると10月下旬から11月初旬には

 中国にとってパンダの貸与は、重要な外交カードなわけで、石破内閣が参院選後も存続することを見極めた上でないと、決断しないだろう。もしかしたら逆に、石破内閣が「パンダの貸与」を決めて参院選に勝とうとして、中国側に水面下で何か交換条件を持ちかけるかもしれないが。

 中国は7月下旬になると政治日程が立て込み、8月の前半は夏休みを兼ねた「北戴河(ほくたいが)会議」である。こうしたことを勘案すると、石破内閣が存続するという前提のもとに、8月下旬以降になる可能性が高い。

 一番可能性が高いのは、10月下旬から11月初旬に予定されている慶州APEC(アジア太平洋経済協力会議)である。この時、石破首相と習近平主席の年に一度の首脳会談が、韓国で行われるだろうからだ。

2017年7月、ドイツ・ベルリンの動物園でパンダのお披露目式に出席したメルケル首相(当時)と中国の習近平国家主席(ロイター=共同)

 ちなみに、「成都大熊猫繁育研究基地」のホームページには、「習近平総書記が中華民族共同体意識の堅持を強調した」「最近、基地内の共産党支部で、社会主義の核心価値観のトレーニングと実践を行った」などと、政治的な内容も散見される。日本では単に「カワイイ動物」だが、中国では政治的な「パンダ外交」の一環であることを、頭に入れておくべきだろう。