国会で違法民泊の実態が指摘された東京都中央区のマンション「晴海フラッグ」(写真:共同通信社)

 都心マンション高騰の裏にあると指摘される、外国人による日本の不動産の“爆買い”。最新の調査では、首都圏マンションの2~4割が外国人の手に渡っているという。規制の甘さが爆買いに拍車をかけるが、政府は無策のままで――。

(牧野 知弘:オラガ総研代表、不動産事業プロデューサー)

首都圏マンションの外国人購入割合は…

 昨年、ある会社から中国人投資家たちの日本不動産購入ツアーで、東京のマーケットについてレクチャーしてほしいとの依頼を受け、登壇したときのことだ。

 都内で好評裡に完売した超高額マンションの事例を話したところ、聞いていたツアー客のひとりが手を挙げ、当該マンションを購入したと発言した。1住戸数億円もするような住戸であるが、キャッシュで買ったというから驚きだ。外国人が日本でローンを組む場合、永住権がないと組成は難しいとはいえ、全額キャッシュでの購入には驚かされる。

 彼曰く、「北京や上海のマンションよりも安いと感じました」。さらに当該マンションを購入した理由を尋ねると、「立地も建物仕様もよいと感じましたが、何よりも同朋人が多いので安心でした」と答えた。

 さらにどのくらいの数の同朋人が購入したか尋ねたところ、「正確にはわかりませんが、自分が知る限り100人はくだらないと思う」。

 呆気にとられた。彼の話が本当ならば、当該マンションのかなりの割合を中国人が購入していることになるからだ。

 三菱UFJ信託銀行の調査によれば、2024年度下期に供給された首都圏マンションの2割から4割が外国人による購入であると発表されている。現在のマンションマーケットがいかに外国人によって成り立っているかがわかる。

◎三菱UFJ信託銀行「2024年度下期デベロッパー調査(首都圏マンション・戸建)