どんな対応がとりうるのか
非居住外国人の中には、固定資産税や都市計画税を支払わずに所有し続け、自治体も所有者の住所が特定できず、また調査も難しいために滞納のままになっているケースも目立っている。たとえば非居住者に対してはまとめて10年分の固定資産税を請求するなどの特例があってもよいと思われる。
また登記の整備も必要だ。ダミー会社による取得、ペーパーカンパニーの設立、匿名組合を利用した出資による取得など外国人の実態をつかみにくい取引については、登記上での付記を求める、国による調査権を設け、実質外国人所有のものについては別の税制を適用してもよいだろう。
相続税については、所有していた外国人の国の法律に基づくため、相続税が存在しない中国人などの手に渡ると、その物件が中国人の間を転々とする限り、相続税の徴収もままならない。所有は一代限りとするなどの制限をかけたとしてもGATSの基本精神にもとるものとは思えない。
協定参加時には留保していなかったシンガポールでも2023年に外国人による不動産取得時の印紙税を物件価格の30%から60%に引き上げている例がある。参加各国との交渉が難儀であるから変更は難しいなどといった、できないための理由探しばかり言う国は本当に日本の国益を考えているのだろうか。
外国人による野放図な不動産投資、日本のルールを守らない運用は日本の一般国民が適正な価格で住宅を買ったり、借りたりできないという、まさに国民の安全保障上、大きな問題を引き起こしている。
ぜひ国にはこの現状を直視して、外国人による不動産取引の体系整備を考えてもらいたいものだ。