イランの戦力は「張り子の虎」だった
需要が堅調な夏場は1バレル=60~70ドルのレンジで推移するが、秋口から下がり始め、年末には50ドル台に落ち込むのではないかと筆者は考えている。
トランプ関税などの影響で世界の経済成長率が鈍化し、需要面からの下押し圧力が強くなることが予想されているからだ。
だが、中東地域の地政学リスクが再び台頭すれば、このシナリオは狂う。
12日間の戦闘で明らかになったのはイランの戦力が「張り子の虎」だったことだ。

トランプ氏はこれまで介入に慎重だったが、イラン弱しと見るや「自らも手柄を挙げたい」と考え、攻撃に踏み切ったとの見方が有力だ。
イランの無敗神話が崩壊したことで中東のパワーバランスが大きく変わるとの論評が出ているが、内政面でも混乱が起きるリスクがある。
前回のコラムでイランの体制崩壊の可能性を指摘したが、これが一段と高まっているのではないかと思えてならない。
イラン政府は24日に勝利を宣言したものの、一人負けだったことは疑いのない事実だ。 停戦に応じざるをなかったのは、継戦能力が著しく低下したイラン政府が体制存続を優先したからだ。
CNNは23日「イランの最高指導者ハメネイ師は就任以来、最も悲惨な状況に追い込まれている」と報じ、ロイターも同日「ハメネイ師の後継候補の選定作業が加速している」と伝えた。