日本は中東依存度を下げる備えを
「イランで体制転換が起きる」と現時点で断言するつもりはないが、イランの政情が不安定化する事態を想定しておくべきだ。イラクやリビアのように内戦状態となり、イランの原油生産(日量340万バレル)がゼロになれば、原油価格は間違いなく高騰する。
日本はイラン産原油を輸入していないが、中東依存度の高さ(95%前後)が心配だ。 イランの政変が周辺のアラブ諸国に波及する恐れがある。
筆者は中東依存度を下げるために「米国産原油の輸入を拡大すべきだ」とかねて主張している。その緊要性はさらに高まったと考えている。
その際、原油の輸送コストを政府が一部負担する取り組みが功を奏して、米国産原油の大規模輸入に成功している韓国の取り組みが参考になる。
日本も同様の政策を一刻も早く実施すべきではないだろうか。
藤 和彦(ふじ・かずひこ)経済産業研究所コンサルティング・フェロー
1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。