野球に恩返しをしたい

 少人数制インドア野球教室『HERAW BASEBALL』、中学の部活動を引退した中学3年生に高校入学までの間に硬式球での練習、実戦の機会を提供する『MAKE PROGRESS 中3育成会』を運営しています。

 指導者や開催場所の確保には、「人徳力」が生きています。

 指導者としては、プロ野球や社会人野球のOBに声を掛けて、集まっていただいています。『MAKE PROGRESS 中3育成会』の主な活動拠点は東京都、千葉県、埼玉県。それぞれの地域にある高校、大学、社会人チームに協力していただき、グラウンドをお借りしています。

 野球教室で子どもたちに教えているのは、技術以上に野球人としての「心」の部分です。たとえば、「お借りしたグラウンドは、使う前より綺麗にしてお返ししよう」と伝えています。これは東洋大で髙橋監督から教わったことです。あとは、挨拶や返事、仲間への声掛けの大切さなどです。

 これらは、野球人が野球を通して学んできたこと。そして、社会へ出てから必ず生きることです。

 最初は挨拶や返事ができなかった子が、だんだんできるようになっていくんですよ。子どもたちが野球がうまくなっていくのもうれしいですが、野球を通して成長してくれることにやりがいを感じています。

 マネジャーの仕事から今の仕事に変わっても、やっていることはほぼ同じ。自分で企画して、自分で営業して、自分で運営して、自分で経理の仕事をして……。あらためて考えて、仕事では「先読み力」が大事だと感じています。

 NICE BOXでのイベントや野球教室の運営では、起こり得る状況を予測して、解決策を見つけ、実行することで、常にお客様に喜んでいただけるように努めています。毎日毎日大変ではありますが、とても充実しています。

 今の私があるのは、野球と野球を通して出会った人たちのおかげです。私は野球に人として育ててもらいました。だから、これからの人生で野球に恩返ししたいと強く思っています。

 このNICE BOXでの活動を通して、一人でも多くの子どもたちに「野球は楽しい!」という喜びを伝え、未来の野球人が育つように貢献していきたい。私はこれからも野球界のさらなる発展のために、全力を尽くしていきます。

川上哲矢(かわかみ・てつや)
1985年熊本県出身。九州学院高校野球部の1年時に選手からマネジャーに転身。東洋大学では4年時に主務を務め、2007年の東都大学リーグ戦の春秋連覇と明治神宮大会初優勝を果たしたチームに貢献した。2008年にセガサミーに入社して、野球部マネジャーとなり、2021年までの14年間にわたってチームを支えた。マネジャー退任後は人事部で社業に就いた後、2022年6月に退社。2022年の7月から2023年6月まで十九浦産業での勤務を経て、2023年9月にNICE BOX株式会社に入社。野球振興イベントによる普及活動や野球スクールの企画・運営をしている。
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佐伯 要(さえき・かなめ)
1971年和歌山県生まれ。早稲田大学人間科学部卒業後、16年間のスポーツメーカー勤務を経て、2009年にスポーツライターに。「取材の量と原稿の質は比例する」をモットーに、野球を中心に取材・執筆している。著書に『1980年早実 大ちゃんフィーバーの真実』(ベースボール・マガジン社)がある。