ウィトコフ特使の提案とは

 ハメネイ最高指導者の言葉は実に分かりやすいではありませんか。偉大なイランの政治的指導者の言葉は、白黒が明確なのです。そう、アメリカの最新の提案には「100%反対」なのだと。

 この他にも、イランからウラン濃縮能力を奪うことを意図しているアメリカの最高指導者への不信の言葉が繰り返されました。この演説だけ聞けば、理解の早い皆さんは、とうとう交渉は破綻するのだなと思われたことでしょう。

 それでは、アメリカのウィトコフ特使からイランのアラグチ外務大臣にもたらされた最新の提案は何だったのでしょうか。

 それは、イランがウラン濃縮を続けることを放棄させ、平和利用に必要な3%程の低濃縮ウランを、外部にあるウラン濃縮を行うコンソーシアムからイランに供給させよう、という内容からなるものでした。

 これまで5回にわたって行われてきた米国とイランの核交渉では、煎じ詰めるとイランにウラン濃縮を認めるか否かが最大の焦点になっているわけです。

 イランのウラン濃縮問題について、より具体的にかつ分かりやすく説明すると、以下の3つの課題があります。

(1)イランが濃縮に成功した60%と20%の高濃縮ウランを廃棄するのか。
(2)イランが独自の技術開発を経て設置してきた、1万本をゆうに超える数々の高度な遠心分離機を廃棄するのか。
(3)今後、イランが平和的な原子力利用のために必要な低濃縮ウランをいかに確保できるのか。