日米比較で格差が広がった30-10年国債スプレッド
図2は、日米の30年国債と10年国債の利回り格差(30-10年国債スプレッド)がどのように推移したかを示している(米国では40年国債が発行されていないため、比較する都合上、日本の国債も40年国債ではなく30年国債で比較している)。

まず、30-10年国債スプレッドの方向性を、日米で比較してみたい。
日本国債の推移(赤い線)は、直近2カ月間で30年国債の利回りが10年国債利回り対比で上昇しているため、同スプレッドが急拡大している。これは、2024年末以降に低下した分の反動に過ぎず、2023年以降の緩やかな上昇のペースの直線上に乗った動きと考えられなくもない。日本銀行が利上げを進めたために、同スプレッドが極端に拡大したわけでなく、緩やかペースを維持しているともいえよう。
また、米連銀が最後に利上げして以降、米国の30-10年国債スプレッドも緩やかに上昇しており(黒点線)、日米の方向に違和感を認める類のものではない。そのため方向性に、突然変異が発生しているわけではない。
ただし水準については注意が必要であろう。注目しておきたいのは、足元の動きではなく、2021年半ば以降に日米の水準が逆転して、大幅に日米差が拡がっているという点であろう。
この背景としては、以下の二点が考えられる。
第一に、米国の場合には、連邦準備制度理事会(FRB)が4回連続で0.75%の利上げを実施する過程にあったため、急速な短期金利の上昇が、より短い期間の国債利回りに上昇圧力となって働いた。30年国債利回りよりも、10年国債利回りが政策金利の急上昇とともに引き上げられ、30年国債利回りから10年国債利回りを差し引いたスプレッドが縮小したと考えられる。
2022年9月には、30年国債利回りが10年国債利回りを下回るような逆イールドが生じるほどに、インパクトが大きかったといえよう。それに比べて、2024年3月以降のわが国の利上げは、あまりにも緩慢な利上げであり、同スプレッドが低下するほどのインパクトがなかったため、両スプレッドの格差が拡がっている背景の一つとなっている。