反ユダヤ主義助長の講座設置認める

 ハーバード大学への中国共産党の「影響力」については、ガーバー学長自身が4月29日に公表した2つの調査報告書でもはっきりと認めている以下のようなくだりがある。

一、(香港出身の億万長者、陳楽宗氏が拠出した)T・H・チャン公衆衛生学スクールは2022年、パレスチナ問題研究を立ち上げたが、「集団指導制」と銘打ちながら、5人の講座担当の中には一人も正規の教授、准教授、助教はいなかった。

一、修士課程の「宗教と公共生活」は、教える者も学ぶ者もイスラエル・パレスチナ問題に焦点を当てた講座とは予期していなかったが、実際には「ユダヤ人の原罪」を問う講座だった。

 おそらく、クリスティ・ノーム国土安全保障長官が、「ハーバード大学は中国共産党と連携して暴力と反ユダヤ主義を助長させてきた」と公言した裏付けは、この学長のステートメントだったようだ。

Presidential Task Force on Combating Antisemitism and Anti-Israeli Bias - Harvard University

Presidential Task Force on Combating Anti-Muslim, Anti-Arab, and Anti-Palestinian Bias - Harvard University

5 reasons why Trump is at war with Harvard, according to university's antisemitism report | Fox News

高卒以下の米国民はハーバード不支持53%

 世論はどうか。

 AP通信とシカゴ大学公共政策リサーチセンター(NORC)が実施した世論調査によると、トランプ政権の「大学政策」(ハーバード大学問題)に対する賛否は完全に二分している。

        賛成   反対
―――――――――――――――
全体      42%   56%
共和党支持者  83%   16%
民主党支持者  10%   90%
無党派     30%   65%
―――――――――――――――
大卒      36%   63%
高卒以下    46%   53%

「大学が改革要求を拒否し続けた場合、連邦助成金は停止すべきだ」というステートメントに対しては次の通りだ。

                賛成 分からない 反対
―――――――――――――――――――
全体      27%   26%  45%
共和党支持者  51%   26%  22%
民主党支持者   7%   20%  73%
無党派     20%   38%  37%

Few support punitive funding cuts to colleges and universities - AP-NORC

 世論調査結果を見て注目されるのは共和党支持者の26%、無党派の38%がハーバード大学をどうしていいか「分からない」と答えている点だ。

 ハーバード大学が自分たちには関係ないからか、中国共産党がハーバード大学を侵食しても自分たちは関わりない、とうそぶいているからか。

 いずれにせよ、驚くべきは米国の最高学府の奥の院にまで入り込み、米国を震撼させている中国共産党の恐るべき威力だ。