本社、追浜、平塚の売却で劇的改善なるか
追浜工場は敷地面積170万7000m2(51万4000坪)という広大な敷地だ。一括で売却できるとも思えない規模である。

3月に発表された公示地価で工場のある横須賀市夏島町のポイントをみると、1m2あたり7万4500円と前年比で10.4%も上昇している。公示価格ベースで試算すると全体敷地の価格は1265億円にもなる。
通常の不動産売買における実際の取引額は公示地価の2割ほどは高くなる傾向にあるのでその分を勘案して1500億円程度。開発にあたっては広大な敷地ゆえ道路などを引き込むことによって15%程度の土地は利用できないことを考えて有効率85%として1297億円くらいが適当な価格となりそうだ。
同様に日産車体湘南工場を試算してみよう。
工場の敷地面積は17万2000m2(5万2030坪)。近隣の公示地価は1m2あたり12万5000円である。総額にして215億円程度だ。
2015年3月に日産車体は湘南工場の一部敷地を三井不動産に売却している。敷地面積14万3000m2の売買価格は160億円、1m2あたり11万1188円だ。10年という時間の経過を勘案し、現在の公示価格の2割増として258億円くらいが正解だろう。
実際の土地取引は公示価格を大幅に上回る場合が多く、都心部などでは公示地価の2倍を超える価額で取引されることもある。だがこの2つの工場はあまりに規模が大きく、特に追浜の場合は開発にあたって道路などを新設する必要もあり、全体として売却を考えた場合は公示地価ベースプラスアルファでの金額にとどめておくほうが現実的かもしれない。
結論だ。日産自動車が横浜本社ビルと横須賀追浜、平塚の2つの工場の売却を行った場合に想定される売却価格は本社900億円、追浜1300億円、平塚250億円、合計2450億円である。
ただ日産の有利子負債は2025年3月期で7兆9856億円なので、劇的改善には至らないかもしれないが、リストラ計画には大いに貢献することになるはずだ。