ビッグ・テックが牛耳る米国vsテック統制の中国

 ブレマー氏は、さらにオンライン「GZERO」にこう書いている。

「ビッグ・テックは今や、AIから量子(Quantum)、バイオテクの領域まで進出し、戦略的な必要性から政府機関と連携する道を選んでいる」

「パランティアやオープンAIの共同創業者のピーター・ティール氏は『自由と民主主義が両立するとは思わない』と言っている」

「マスク氏は自らを『現代のスッラ』*3と名付けている」

*3=共和制ローマ後期の独裁者、ルキウス・コルネリウス・スッラ・フェリクス政務官のこと。

 今回のトランプ氏の中東歴訪の「成果」も裏を返せば、ビッグ・テックの書いた筋書通り、トランプ氏を使ったサウジアラビアをはじめとするAI市場拡大とオイルマネー狙いだったと見れば、うなずける点が多々ある。

 ブレマー氏は、これからの世界をこう予言すらしている。

「『ひと握りのビッグ・テックのリーダーたちが桁外れなパワーを手にした国家・米国』と『目標を達成するために国営テック企業を働かせる統制国家・中国』が競い合うテクノポラーになる」

Why governments vs. Big Tech is the wrong question - GZERO Media

 今回のトランプ氏のビジネス歴訪は、その1ページ目ということか。

 トランプ氏は伝統的な外交を排除し、官僚よりもテック企業の経営者たちの声に耳を傾けている。それこそ「トランプ革命」の真骨頂だ、と自画自賛している。

 だが気づいてみたら、利用されているのは自分だった、ということになりはしないのか。

 アメリカ合衆国はリスクいっぱいの航海を突き進んでいる。