本作でコスモスを見事に演じたグリフォン種のコディはカンヌ国際映画祭で最高の演技を見せる犬に贈られる「パルム・ドッグ賞」を受賞。ちなみに受賞犬には「パルム・ドッグ」とデザインされたゴージャスな首輪が送られるそう。一昨年の受賞犬はアカデミー賞授賞式にも参加するほど人気者になった『落下の解剖学』の有名犬メッシである。

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 コディはもともと、サーカス犬。きっと、どんな複雑な動きも演技もできるのだろう。ここでは決して、可愛いアピールだけをする存在では終わらない。時に凶暴な表情を見せ、犬たちが決して可愛いがられるための動物ではなく、本来、獣であることを描くことも恐れない。

誰もが持っている「幸せに暮らす権利」

 食事中のコスモスに手を出してしまったのは女性の過ちだが、その後、コスモスが女性を相手にしか噛まないことが発覚すると、今度は性差別の問題に発展。コスモスが去勢していないことも討議の対象になっていく。

 犬はなぜ噛むのか。「NO」と言いたいのに言えないから、噛むしかない。犬が愛情を求めていても、大抵の飼い主は理解できず、自分たちの都合のいい時だけ可愛がる。

 そんなコスモスと呼応するようなポジションにいるのがアヴリルと友情を育む少年。近所の住人であるアヴリルは彼が虐待を受けていることを知っているが、接近禁止令を受けている。父親に息子が殴られようと普段は関心を示さない母親はアヴリルとの関係には過剰に反応する。

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