そもそも犬は物なのか。離婚した夫婦が犬の権利を取り合い、判事が「犬を半々に切り分けろ」と命じたこともある。飼い主の所有物とみなされたわけだが、犬自身には飼い主と違う欲求があるはず。侃侃諤諤と議論を交わす様子がコミカルに語られる。

カンヌで「パルム・ドッグ賞」受賞した犬の演技

 依頼主の男性は視覚障がい者で無職。犬は噛まないと主張するが、噛まれたところを見てはいない。同情票は集まるが、管理能力が問われる。

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 一方、被害に遭った女性はポルトガルからの移民である貧しい家政婦で、犬が好きで構っただけなのに、顔を噛みつかれ、大きな傷を負った。罰金には顔の整形手術代も含まれる。

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 彼女にも女性中心に関心が高まるが、犬が所有物でないなら、いったい罰金は誰が払うのか。とはいえ、犬の愛らしさや飼い主との切っても切れない絆を見せつけられ、動物愛護家や子どもたちは安楽死の判断に黙っていられない。

 裁判の行方はどんどん、わからなくなっていく。コスモスが友好的な犬だという人もいれば、猛犬だと主張する人もいる。

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