2025年の訪日外国人は4000万人超えが確実とみられている(写真:つのだよしお/アフロ)
訪日外国人客が過去最高を更新するなか、「民泊」をめぐるトラブルが相次いでいます。かつて営業で宿泊客を取る行為は旅館業法によって厳格な枠をはめられていましたが、成長戦略の1つとして「観光立国」を掲げた安倍政権(2012〜2020年)が大胆な規制緩和を実施。一般の住宅を宿泊用に提供する施設は急拡大しました。その民泊が今、不正で揺れています。その実態と対策をやさしく解説します。
ごみ放置や喫煙、マナーの悪さが目に余る
東京都荒川区の民泊施設とそれを運営する新宿区の会社が今年11月末、住宅宿泊事業法(民泊新法)違反容疑で警視庁の家宅捜索を受けました。荒川区の条例では、土曜・日曜・祝日しか民泊営業が認められていないのに、この施設は平日も運営していたという容疑でした。民泊施設への強制捜査は極めて異例のことです。
施設はJR山手線・西日暮里駅から徒歩10分足らずの木造3階建てアパート。貸し出されていた部屋は70平方メートルほどの広さでした。事件を報じた複数の新聞・テレビの報道によると、この施設は1泊4万円ほど。予約サイトには日本語だけでなく、英語と中国語でも案内されていたそうです。
荒川区内の民泊施設は土日と祝日の営業しか認められていないのに、この施設は平日も営業し、区にその実態を報告しなかった民泊新法違反が疑われています。しかも、区は営業や報告義務に違反しているとして警告と業務改善命令を出しましたが、施設側は無視。地域住民からは「週末や祝日に限らず、外国人が周辺に集まり、異様な雰囲気だった」「ごみ放置や喫煙が目に余る」といった苦情が区にも再三寄せられていた、とされています。
これだけではありません。民泊不正を警察が立件したケースには、先例があります。