防衛政策
第二次トランプ政権の関税攻勢に対しては、メルツは「大西洋横断の関税ゼロ」を掲げて、早期に米独首脳会談を行う予定である。
さらには、関税攻勢と並んで大きな問題となっているのが、防衛問題である。
2014年にロシアがクリミアを併合したのをきっかけに、NATOは、加盟国の防衛費をGDPの2%に引き上げることを目標にした。しかし、これまでに、この目標に到達した国は32カ国中22カ国のみである。トランプ政権は、この比率をさらに引き上げることを考えており、加盟国の対応が注目される。
ドイツでは、3月4日、国防費を増やすために、憲法で定められている債務抑制策を緩和することで与野党が合意した。その結果、今後10年で国防費などへの追加財政支出は1兆ユーロ(約163兆円)に達するとみられている。
また、ウクライナ政策については、ショルツ政権は長射程巡航ミサイル「タウルス」(射程約500km)の供与は控えてきたが、メルツはそれを容認する意向である。どのようにウクライナ支援を継続するかも大きな問題である。
メルツは、早速、外交を始動させ、5月7日には、パリでマクロン大統領と会談した。両者は、欧州がアメリカから自立する方向で一致し、両国で「防衛・安全保障評議会」を設置することで合意した。ドイツが欧州大陸で復権しようとする意欲を示したものである。
