一橋治済はどのようにして「将軍の父」となるのか

 一方の幕府パートでは、田沼意次(たぬま おきつぐ)は「次期将軍となる西の丸に誰が色気を見せるのか」をうかがっていた。その男こそ、徳川家治(いえはる)の嫡男・家基(いえもと)の殺害に関わっているに違いないからだ。

 ところが、10代将軍・徳川家治の異母兄弟に当たる清水家の清水重好(しげよし)も、一橋家の一橋治済(はるさだ)もまるでその気がないように見える。御三家(尾張家・紀伊家・水戸家)にも適任者がいないことが分かると、意次は家治に今からまた子づくりに励むように促す……という展開となった。

 実際、第11代将軍には一橋治済の息子・豊千代(のちの家斉)が就くため、ドラマの治済は警戒して本音を胸の内にしているのだろう。もっとも、御三家・田安家・清水家に適当な男子がいないのだから、治済からすれば慌てる必要はない。

 動かずとも、自分がいずれキーパーソンになると知っている治済。息子を将軍にすべく、どこで野心をあらわにするのか。

 史実においては、豊千代が家治の世子(せいし:跡継ぎ)に迎えられるように意次が奔走。それに成功して次期将軍への道筋をつくり、田沼家は全盛期を迎えたとされている。ドラマでは意次と治済に、協力関係がまだないだけに、どんな展開になっていくのか注視したい。