3.ウクライナ長距離ドローンの戦果

 大型~中型で低速の無人機は、防空兵器の攻撃で撃墜されやすい。

 だが、前述のウクライナの無人機は撃墜されることなく、モスクワ市街地、軍事工場、エネルギー施設への突入に成功するものもあり、大きな損害を与えている。

 攻撃成功の事例については以下のとおりである。

 A-22Foxbat改造型は2024年4月2日、国境から約1300キロ離れたタタールスタン共和国エラブガにある「シャヘド136型」ドローンの製造工場とタネコ(TANECO)石油精製施設を同時攻撃し、大きな被害を与えた。

 Sky Ranger Nynjaは2024年5月6日、両国の国境から1400キロ離れたバシコルトスタン共和国にある同国最大級の石油精製プラント、ガスプロム・ネフテクヒム・サラヴァトを攻撃し大きな被害を与えた。

 これらの大型機は、ロシア製のシャヘド型無人機と比べると、大きさが約2倍もある。ということは、ウクライナ機の方が防空兵器から撃墜されやすい。

 だが、1300キロ飛行して、目標まで到達し爆破に成功している。

 中型機のUJ-26Beaverは、木々の高さほどの超低空を飛行し、モスクワやロシア国内の標的を攻撃した。撃墜されたものもあったが、市街地の建物には被害を与えた。

 小型機のBeaverはシャヘドとほぼ同じ全長であるが、形状から見てレーダーの反射が少ない。

 さらに、超低空を飛行することから、ロシアが長短距離の防空兵器を幾重にも配備している中を潜り抜け、攻撃に成功している。

図1 ウクライナ自爆型無人機のロシアへの長距離攻撃例

出典:各種情報に基づき、西村金一が作成したもの(図は以下同じ)