メニュー表は残すべきか撤去すべきか
一方でタブレット導入は海外からの観光客を呼び込むうえでかっこうの利器となる。都内の大手回転寿司チェーンでは、カウンター席とテーブル席に注文用タブレットをくまなく配置。表示される言語は英語、スペイン語、繁体字中国語(主に台湾)、簡体字中国語(主に中国大陸)、韓国語など。これで外国人もすし職人や配膳スタッフと会話することなく、スムーズに注文することが可能となった。傍から見ていて味気ない気もするが、少なくとも注文の仕方が分からずオロオロする外国人客の可哀そうな姿を見ることはなくなった。
このように大手回転すしチェーンの店内風景は変貌を遂げたのだが、日本人客からは意外にもこんな不満の声が上がっている。
それは店によってタブレット端末の導入でメニュー表が撤去されてしまったこと。画面が10インチほどのタブレットでは料理の全体像がよくわからず美味しそうに見えない、というのだ。
これについて滋野社長はこう話す。
「タブレット端末の導入が進んでいるガストや、スマホ注文のサイゼリヤでも、メニュー表はしっかり残していますよね。メニューの料理がバラエティーに富んでいる場合、客にとってはゆっくり選ぶ時間が必要ですから、メニュー表は必要だと思います。
例えばハンバーグですと、上にチーズがのっかっていたり、パイナップルの輪切りがのっかっていたり。カラー写真があれば美味しさが格段に伝わり注文に繋がります。一方、すし店の場合、茶わん蒸しや海鮮サラダなどもありますが、ほとんどは皿に乗った1貫か2貫のすしなのでタブレットで十分ではないでしょうか」
維持と撤去。企業個別の判断により卓上のメニュー表への対応は分かれているが、実際かなりのコストがかかっている。