aijiro/Shutterstock.com

 国内外で1500以上の直営店を展開し、年間の来客数は2億人を超えるサイゼリヤ。創業者の正垣泰彦会長は、大学4年生だった1967年に小さな洋食屋を開業して以来、安くておいしい料理の提供を追求してきた。本連載では『一生学べる仕事力大全』(致知出版社)に収録されたインタビュー「最悪の時こそ最高である」から内容の一部を抜粋・再編集し、正垣氏の経営観と人生観を紹介する。

 第2回は、洋食屋からイタリアンに転じ、「安くておいしい」を追求するきっかけとなった苦境と逆転の発想を振り返る。

いかにして行列店へと生まれ変わったのか

一生学べる仕事力大全』(致知出版)

――考え方が180度転換した。

正垣 再起に当たって、まず洋食屋からイタリア料理店に変更しました。なぜイタリア料理だったかというと、一つは商店街の中にイタリア料理の店がなかったから。同じジャンルの店を出すと相手に悪いでしょう。

 もう一つは、ヨーロッパ各地を視察した際に、料理やワインの組み合わせが豊富で、楽しく食べるために順序や食べ方が決まっていて、健康にもよく、家庭料理のように毎日食べても飽きない。こんな素晴らしい料理は他にないと感動したんです。

 これを日本に広めよう、みんなに食べさせてあげたいと思って始めたんですけど、それでもお客さんは全然来ない。あまりにも埒が明かないものだから、自分の考え方が間違っていると思って、全部逆に受け止めることにしたんです。つまり、立地は最高、お客さんも最高、料理は安くておいしいものを出しているんじゃなくて、高くてまずいものを出しているって。

――お客さんが来ない原因を自分に求めたのですね。

正垣 そこから毎朝4時に誰よりも早く市場へ出掛け、高価で良質な食材を買ってきて、自分の給料を取らないでとにかく安く料理を提供しました。

【書籍プレゼントキャンペーン】
今なら『一生学べる仕事力大全』(致知出版)をJapan Innovation Review無料会員でご応募いただいた中から抽選で5名様にプレゼント!詳細は以下をclick!
応募はこちらから