「子どもの日常を想像できなくなってしまいました」
──反省がたくさんあります。
さくら氏:また、もっとどす黒い感情を含めた、その先輩に話しきれないことは、心理カウンセラーに話しました。個人的な知り合いではないので、さらに素直に話すことができました。
カウンセラーの先生は話を聞きながら、ポイントを整理してくださるので、そこで自分が何を感じ考えているかを理解して受け止めることができました。
それでも、日々いろんなことを考えてしまうものです。健常児用のオムツのテレビコマーシャルを目にすると、「なんでうちの子は」なんて思ってしまう。
そういう気持ちはジャーナリングという、思ったことを日記のように書き出すことで吐き出して、頭の中を整理する方法で処理しました。中には絶対に人には見せられないノートもあります(笑)。良い人にならずに、ひどい気持ちも含めて思ったことを全部書き出すことが大切です。
──同じ障害の子どもを持つ親たちのコミュニティに参加すると、先輩たちの生活事情が数多く聞けて、初めて娘さんの将来を描けるようになったと書かれています。
さくら氏:マコの障害が分かったときに、医師にどういう生活をしたらいいのか質問したところ、「免疫力がないから集団生活はやめてください」「幼稚園に行くのも控えたほうがいい」と言われました。
医師としては正当なアドバイスかもしれませんが、私は子どもの日常を想像することができなくなってしまいました。
そこで、同じ疾患を持つ人たちがどんな生活をしているのか知りたいと思ったのです。実際に同じ立場の方々と出会ったら、子どもを預けて働いている人もいました。子どもにも社交性があり、外の世界や人と触れられる機会を心待ちにしていることも分かりました。
医師の意見は専門家の絶対の真実のように思いがちですが、参考情報の1つであって、同じ境遇の方の話を聞くと全く違う事実が見えます。母親はどうしても「私がこの子を守らなきゃ」という意識になり、冷静になれないというか、つい思い込みが強くなりがちなのです。