メタ、世界全地域で2桁成長

 SNS(交流サイト)「Facebook(フェイスブック)」や写真共有アプリ「Instagram(インスタグラム)」など、グループ全体のサービスの2025年3月における日間アクティブ利用者数は34億3000万人で、前年同月から6%増えた。

 事業部門別売上高は、ネット広告とアプリ関連サービスを合わせた「Family of Apps(ファミリー・オブ・アプス)」が前年同期比16%増の419億200万ドル。

 次世代コンピューター基盤と位置付けるAI及びメタバース関連事業「Reality Labs(リアリティー・ラボ)」は6.4%減の4億1200万ドル。同事業の営業損失は42億1000万ドルで、前年同期の38億4600万ドルから拡大した。

 世界の地域別売上高は、前四半期に続き全ての地域で2桁成長した。米国・カナダは前年同期比18%増の186億500万ドル、欧州は14%増の96億8000万ドル、アジア太平洋地域は13%増の84億3900万ドル。アフリカなどその他の地域は20%増の55億9000万ドルだった。

メタ、AI投資加速で将来の収益源に期待 独禁法訴訟が懸念材料

 好調な広告事業を支えに、メタはAI開発への投資を加速する。2025年の設備投資額の見通しを従来の600億~650億ドルから640億~720億ドルへと引き上げた。費用全体の抑制は進めるものの、AI関連の投資は強化する。

 メタはこのほど、同社初のAI開発者会議を開催し、自社のAIアシスタント「Meta AI」の単体アプリやオープンソース大規模言語モデル「Llama」の新機能などを発表。「年末までにMeta AIの利用者10億人」という目標を掲げ、AI分野での主導権獲得を目指す。ザッカーバーグCEOは電話会見で、将来的にはAIを活用した法人向けメッセージ機能や高度な広告ツールなどが収益に貢献するとの見通しを示した。

 他方で、メタは事業の根幹を揺るしかねないリスクも抱える。米連邦取引委員会(FTC)が同社を相手取り、個人向けSNS市場での違法な独占を主張して起こした裁判が進行中だ。FTCはInstagramとWhatsApp(ワッツアップ)の買収の取り消し(分離・売却)を求めている。

 大手IT2社の決算は、AIやクラウド、デジタル広告といったそれぞれの核となる事業分野での強さが、外部環境の不確実性や市場の懸念を吸収し、成長を持続させる原動力となっていることを示した。両社ともにAIへの巨額投資を継続しており、これが将来の成長を左右する鍵となりそうだ。一方で、マイクロソフトのAI投資の収益性や、メタが直面する独占禁止法訴訟の行方など、それぞれが抱える課題も依然として残っている。