シアトル中心部(筆者撮影)

 近年、生成AIの進化が急速に進み、エンジニアの働き方にも大きな変化をもたらしています。

 特に、米国北西部ワシントン州のシアトルは、世界有数のテクノロジー都市であり、多くのエンジニアが新しい技術を取り入れることで生産性を向上させるようになりました。

 その中でも、ChatGPT(チャットGPT)やワシントン州に本社を置くマイクロソフトのCopilot(コパイロット)などのAIツールがどのように活用され、エンジニアのキャリアや市場価値にどのような影響を与えているのかは、重要な関心事となっています。

 今回は、シアトル在住の長野弘子さんにお話を伺い、AIの発展がエンジニアにどのような影響を与えているのかを探りました。

 長野さんについては本文の最後に詳しくご紹介しています。現在、ワシントン州にある大手IT企業の多くでセラピストとして活躍されています。

木寺 チャットGPTの登場により、シアトルのエンジニアの考えは変わったのでしょうか?

長野 シアトルは、世界でも有数のテクノロジー都市として知られており、特にエンジニアの間では新技術の採用が早いです。

 その中でも、チャットGPTをはじめとする生成AIツールは、エンジニアの働き方に大きな変化をもたらしています。

 多くのエンジニアが、定型コードの自動生成、コードレビュー、デバッグのサポートといった形でAIを活用し、生産性の向上を実現しているのです。

 特にジュニアやミドルレベルのエンジニアは、シニアエンジニアに質問しても彼らからのレスポンスが遅く、時間を無駄にしてしまうことが多いという不満を抱えています。

 AIを活用することでその問題が解消され、独力で解決できる範囲が広がったという声が多く聞かれるようになりました。

 一方で、AIの活用が進むことで、ジュニアやミドルレベルのエンジニアの生産性の差が縮まり、市場価値に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

 特に、熟練したシニアエンジニア以外は、スキルの差が出にくくなるため、単なるコーディング作業では差別化が難しくなるのです。

 結果として、AIを駆使した開発手法や、より高度な問題解決能力を持つことが、今後のエンジニアにとって重要なスキルとなると考えられています。