シアトルとシリコンバレーの違い

 シアトルは「AIエンジニアが最も多い都市」と言われることがあります。

 それは、マイクロソフトやアマゾンといった大手テクノロジー企業が居を構え、AIや機械学習に多大な投資を行っているためです。

 その結果、シアトルには多くのAI関連の職が生まれ、AIエンジニアにとって魅力的な環境が整っています。

 一方、シリコンバレーはスタートアップ文化が根付いており、革新的なソフトウエア企業が集まる地域として知られるようになりました。

 シアトルと比較すると、シリコンバレーは技術革新を重視し、リスクを取って新しい市場を開拓する企業が多いのが特徴です。

 シアトルのAIエンジニアの多くは、クラウドコンピューティングやエンタープライズ向けのソリューション開発に携わっており、「Microsoft Azure(マイクロソフト・アジュール)」や「AWS(Amazon Web Service=アマゾン・ウエブ・サービス)」といったクラウドサービスの発展に寄与しています。

 特に、AI技術を活用したエンタープライズ向けのプロジェクトが増えており、安定した環境でAI技術を深めることができるのです。

 マイクロソフトのサティア・ナデラCEO(最高経営責任者)は、AIエージェントや大規模言語モデル(LLM)が次世代のテクノロジーの進化に大きく貢献すると述べており、シアトルはこの変革の中心地となりつつあります。

(以上、長野さんのお話)

まとめ

 シアトルのエンジニアたちは、チャットGPTをはじめとするAIツールの登場により、作業効率や生産性を向上させる一方で、エンジニアとしての市場価値の維持に頭を悩ませています。

 オープンAIとマイクロソフトの提携は、シアトルの技術コミュニティに新たな機会をもたらしましたが、その一方で、AI技術の倫理的な課題も浮き彫りになっているのです。

 シアトルとシリコンバレーは、それぞれ異なる技術文化を持ちながらも、AI技術の発展に貢献しています。

 シアトルは、大企業によるAI活用が進む中で、エンタープライズ向けのソリューション開発が中心となっており、今後もAI分野の重要拠点であり続けるでしょう。

 長野弘子さんは、米ワシントン州認定のメンタルヘルスカウンセラーとして活動しています。

 ニューヨークと東京を拠点に15年間ジャーナリストとして執筆し、多くの雑誌に寄稿されてきました。

 2011年の東日本大震災を機にシアトルへ移住し、自然災害や事故によるトラウマを抱える人々を支援するため、ノースウェスト大学院で臨床心理学を専攻。

 その後、米国の大手セラピー・エージェンシーでの勤務を経て独立し、現在はワシントン州の大手IT企業本社で常駐セラピストを務めています。

 詳しい活動については、以下のリンクをご覧ください:

ウエブサイト:LifeFul Counseling
連載記事:Soysauce | Newsweek Japan