MS、主要部門全て好調、PC事業も予想超え
1~3月期は他の事業も好調だった。「Office」や「Dynamics」など、売上高全体の4割強を占める「プロダクティビティー&ビジネスプロセス」部門の売上高は、前年同期比10%増の299億4400万ドルだった。企業向けの業務ソフトをまとめた「Microsoft 365 Commercial」は11%の増収だった。同社は業務ソフト群などで利用可能なAI支援機能「Copilot(コパイロット)」を提供し、収益化につなげる戦略を打ち出している。
パソコン基本ソフト(OS)の「Windows」などを含む「モア・パーソナル・コンピューティング」部門の売上高は133億7100万ドルで前年同期から6%増と、市場予想を上回った。検索及びニュース広告は21%増、ビデオゲーム事業(コンテンツとサービス)の売上高は8%増加した。
長期的には関税問題がパソコン事業の重荷となる可能性は残るものの、マイクロソフトはクラウドや法人向けソフトウエアといった、より変動に強く収益性の高い事業を複数抱えている。今回の決算は、同社がAIとクラウドを成長の柱とし、不透明な経済環境の中でも着実に業績を伸ばす底堅さを持っていることを示した。
メタ、広告事業が予想上回る 関税影響は限定的か
メタの2025年1~3月期決算の売上高は前年同期比16%増の423億1400万ドル(約6兆円)だった。全体の98%を占めるインターネット広告事業の売上高は413億9200万ドルで、前年同期から16%増加した。純利益は35%増の166億4400万ドルで、8四半期連続の増収増益となった。
トランプ米政権の関税強化への懸念が広がる中でも、主力のデジタル広告事業が底堅さを見せ、売上高・純利益ともに市場予想を上回った。AI分野への巨額投資を継続・拡大する方針も明らかにし、堅調な業績見通しも示した。
市場では、米政府の対中関税が中国企業からの広告出稿に大きく依存するメタの業績を圧迫するとの懸念が出ていた。スーザン・リーCFOは電話会見で、少額輸入品の関税免除措置「デミニミス・ルール」が見直される動きを受け、「アジアの広告主の一部に支出抑制が見られる」ことを認めた。しかし、同業の米スナップが広告の逆風を理由に見通し提示を見送ったのに対し、メタの業績への影響は比較的小さいとの見方が示された。アナリストからも「メタの広告事業は強靱(きょうじん)だ」との評価が出ている。
続く4~6月期の売上高見通しも前年同期比8~16%増と、市場予想と一致するか、上回る水準を示した。マーク・ザッカーバーグCEOは「マクロ経済の不確実性を乗り切る態勢は整っている」と述べ、事業運営に自信を示した。