参院選前にパンダ貸与が決まれば有権者へのインパクトは大きいが…

 それでは今後、日本にパンダは戻ってくるのか? 4月29日の中国外交部定例会見で、共同通信の記者が質問すると、郭嘉昆(かく・かこん)報道官は、目を細めて答えた。

「日本に旅立ったパンダは、日本の人々にずっと深く愛されてきた。2023年に香香(シャンシャン)が帰国した際、日本人はいたたまれなくて、長い列を作って見送ったものだ。

 長い間、中日双方はパンダを飼育し繫栄させ、科学研究や技術交流、公衆教育などを進め、それら積極的な協力は成果を上げてきた。日本が引き続き、パンダの保護と国際的な協力に関心を持つこと、中国のパンダ保護事業を支持すること、パンダという一種の愛玩動物を共同でうまく保護することを歓迎する。私の理解では、中日双方は密接な意思疎通を保持しながら、関係する協力を推進していく」

 この意味深な「回答」は何を意味するのか? 思うに、中国側のホンネは次のようなものではないか。

「日本は6月22日に、通常国会が閉会するだろう。国会が閉会したら石破茂首相には、関税で日本を苦しめるトランプのアメリカばかり見ていないで、ぜひ北京を訪問してもらいたい。そうしたら、パンダの件も考えよう」

 つまり、パンダを手土産に日米離開を図ろうというわけだ。

 7月20日に参議院選挙を控えた石破首相は、この誘いに乗るのではないか。「パンダ外交」で選挙の票を稼ぎたいからだ。

 たかがパンダ、されどパンダ。「パンダ外交」恐るべしである。